近頃はLINEが一気にインフラにのぼりつめた。
既読スルーだ未読スルーだと言われているけど、なんだか可笑しい。
友人や恋人との連絡もずいぶん形を変えてきたなと思う。
自分の存在や言葉に価値があればちゃんと返ってくるよ。
思い返せば、僕は昔からメールを返すのが結構遅い方だった。
いわゆる「大長考タイプ」だと思う。
ガラケー時代に遡ると、
まず絵文字がかわいすぎる。
「こんなかわいいやつ送れないなー」
と思いながら、
豚さんとランプ(思いついた!ピカーンみたいなやつ)とキラキラを多用した。
あと音符。慣れてきたところでようやく控えめのニッコリマーク。
相手がそっけない文面だと、
それに合わせてこっちも絵文字なしにしようとして。
でもやっぱり寂しいから、
星1つだけ添えてみたり。
絵文字ではなく顔文字を使うときは、
「どれが一番今の自分の気持ちを表してくれているか」
という観点で上からザーッと探していく。
あんまりいい表情がなかったら自分で作ってマイ辞書登録したりして。
直接の会話ではないメールだと、的確に自分の想いを伝えるのは難しい。
テンションやニュアンスが気になって仕方ない。
できるだけ忠実に、口から発しているような文章表現をしたかった。
結果として、推敲が長くなる。
ちょっとした相談メールなんかがきたときには、
アニメやドラマ1話分の時間は軽く費やしてしまう。
どんなにリアルな発言をメールで再現できたとしても、
メールの読み方が相手と自分とでは違う。
相手が受け取る印象は自分の意図とはズレることになる。
だからこそ、そのぶれ幅を最小限にしたくて一生懸命考える。
ついでに面と向かって喋るのだって得意ではない。
特にシリアスな場面では喋るのが極端に遅くなる。
発言してしまったら取り返しがつかないから、慎重に言葉を選びすぎてしまう。
ひどいときには何も喋らない。
沈黙という逃げ道。
口を閉ざす権利は僕にとってとても大切。
言葉に対して敏感すぎるこの性格は、
何年経っても変わらないということが最近分かってきた。
この過剰な感覚はなんだろう。
でも僕が特殊なわけではなくて、同じような人もたくさんいると思う。
食品の産地や原材料をやたら気にする人がいる。
毎朝着ていく服で頭を悩ます人がいる。
潔癖症で身の回りの除菌ばかりする人がいる。
人それぞれに気になるポイントがあり、
僕の場合はそれが「発する言葉」だということなんだと思う。
それが良いとか悪いとかではなく、ただそういうこと。
ちなみにLINEはできるだけ早く返すようにしてる。
相手もその方が助かるし。
そのせいか、短い時間で言葉を選ぶことに前より慣れてきた気がする。
というよりはむしろ、諦めただけかもしれない。物事を進めたいから。
こうやって文章を書くのだって同じこと。
小さな小さな手直しを加えて、表現を微妙に変え続ける。
誰も気にも留めないことに、無駄に神経を使ってしまう。
でもそうすることしかできないから、これでいいか。
このまどろっこしい感覚がスタンプで網羅されればいいのに。
まぁ、そのスタンプ選びも時間がかかるのだけれど。